当院には、「お腹の張り」を訴えて受診される方が多くいます。
お腹の張りの原因は、悪い病気を例に挙げれば、腸閉塞、がんなどです。診療の流れとして、まず悪い病気を否定することが鉄則ですので、症状によっては、必要に応じて大腸カメラ、CT等で精査します。しかし割合的には便秘症、過敏性腸症候群などが原因であることが多いです。あまり知られていない病気の中に、呑気症(どんきしょう)がお腹の張りの原因であることもあります。
※繰り返しになりますが、「お腹の張り」を訴えて来院される方の中には、一定数、がんなどの悪性疾患が見つかるため、精査は必要です。
呑気症とは?
飲んだり食べたりしたときに、知らないうちに空気も一緒に飲んでいます。食べた後にゲップが出ますよね。胃に入った空気の多くはゲップとして口から出ますが、一部は腸に流れていきます。腸に流れた空気は、最終的にオナラとして体外に出ます。
何らかの理由でそのバランスが崩れて、空気がお腹に多くたまった状態が呑気症です。
夕方になるとお腹が張ることも、呑気症の特徴の一つです。
呑気症の原因は?
(1) ストレス
人はストレスを感じると、唾液とともに空気を飲んでしまいます。その空気を人前でゲップやオナラとして放出できないため、お腹が張り、そのストレスで…という悪循環に陥ります。よって、仕事帰りに来院してレントゲンを撮るとガスが多いのに、仕事を休んで来院してレントゲンを撮るとガスが多くない…ということもあります。
(2) 早食い
早食いだと空気を多く飲んでしまいます。
(3) 歯のかみしめ
人は緊張すると歯をかみしめます。上下の歯を付けていると唾液が出ます。すると唾液を飲み込み、その際に空気も飲み込みます。
(4) 姿勢
長時間のデスクワーク、スマホ、猫背なども原因とされています。
治療は?
ストレスをためないこと。でも、誰でもストレスフリーにしたくても、実際はできませんよね。まずは以下のことに気をつけてください。
・ストレスから解放される時間を持つ。
・よく噛んで、ゆっくり食べる。
・ゲップやオナラを我慢しない。
・意識的にかみしめ癖を直す。少し口を開ける。難しければマウスピースも有効。
・長時間のデスクワークを避けて、気分転換も兼ねて定期的に席を離れて体を動かす。
内科的な薬が効果的なこともありますので、ぜひご相談ください。
症状が強い場合には、心療内科との連携も必要になります。