日常語でいう「貧血」は、立ちくらみ、息切れ、呼吸困難感、めまいなどさまざまな症状を指していることが多いようです。「急に立ち上がったら貧血が・・・」「朝礼で立っていたら貧血になった・・・」などの訴えを耳にします。「医学的な貧血」とは同一ではありません。
立ちくらみの多くは、俗にいう「脳貧血」です。実は、この脳貧血も医学用語として存在しません。血流を調節する自律神経の機能が低下すると、立位では、重力の影響で血液が足の方に下がり、脳の血流が低下するために失神したり、めまいを引き起こすことがあります。医学的な「貧血」と異なり、採血しても異常がみられません。
採血して、貧血の指標となる血色素量(ヘモグロビン)が低下していると、医学的にいう「貧血」です。次回ブログで詳細を書きますが、貧血には様々な種類と原因があります。
貧血の種類と原因によりますが、その多くは鉄欠乏性貧血であることから、出血の原因検索として、男性であれば、胃カメラ、大腸カメラなどで消化器疾患、必要あれば全身の悪性腫瘍(がん)の有無をチェックします。女性であれば、それに加えて婦人科受診をおすすめしています。
なかには、心疾患(特に不整脈)、脳疾患(脳や頚部の血管が狭い)、呼吸器疾患などが、息切れ、呼吸困難感、めまいなどの原因のこともあり得るため、必要あれば心電図、頸動脈エコー、レントゲンなどを行います。緊急性があると判断した場合や専門性が高い疾患を疑った場合には、循環器科や脳神経外科に紹介させていただきますのでご安心ください。
他にも、耳鼻科疾患、加齢による筋力低下、不安など、様々な原因で「貧血」と訴えて受診されることがあります。どの科を受診したらよいのか悩んだ時は、ぜひご相談ください。
なお、当院では、胃カメラ、大腸カメラ、腹部エコー、頸動脈エコー、心電図、胸部・腹部レントゲンが施行可能な検査です。