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2023.07.18

便秘の話

快適な生活を送るためには、快食、快眠、快便が必須と言われています。しっかりと食事をとり、それに見合った排泄(排便・排尿)が重要です。

便秘になった多くの方は市販薬や民間療法で対処しており、医療機関を受診する方は4割にも満たないのが実情です。

それでも、当院には「食欲がない」「便秘」「下痢」などの症状で受診される方が多くいらっしゃいます。今回はその中でも「便秘」について説明します。

 

便秘とは?

 

ガイドラインでは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義しています。簡単に言うと、「排便回数の減少」と「排便困難」です。排便が週3回未満を排便回数が少ない言うことが多いが、回数が少ないからと言って必ずしも便秘というわけでもありません。便秘は定義が難しい『状態』です。

 

便秘の分類

 

【器質性便秘】

大腸に便の通過障害になる原因があり、便が細くなる、排便回数が減る、残便感があるなどの症状が出ます。原因としては、大腸がん、クローン病、直腸瘤などがあります。ただ下痢を訴えて受診した方が進行した大腸がんということは何度も経験しており、便秘でも下痢でも排便異常がある時は受診することをおすすめします。

 

【機能性便秘】

大腸に大腸がんなどの器質的疾患を除いた便秘です。

 

症候性便秘

糖尿病、甲状腺機能低下症、パーキンソン病、強皮症、うつ病、便秘型過敏性腸症候群などは便秘の原因になります。逆に便秘で受診した方の原因を探ったら、前述の病気が見つかったこともあります。

薬剤性便秘

向精神薬、抗パーキンソン薬、オピオイド(モルヒネ、オキシコドンなど)は便秘になりやすいため、あらかじめ便秘治療薬を処方することもあります。

 

そのほかに、加齢に伴う腹筋・骨盤底筋群の筋力低下骨盤底筋協調障害なども原因になります。排便時は、通常お腹に力を入れて、肛門の力を抜くことを無意識に行っていますが、この動作がうまくできず肛門に力が入ってしまうことを骨盤底筋協調障害と言います。

 

便秘の検査と治療

 

器質性便秘や症候性便秘は、その原因疾患の治療が最優先です。

原因検索のためには、大腸カメラが有用です。ただし、状況によっては、レントゲンやCTを先に行い、大きな病変の有無を確認してから大腸カメラを行う場合があります。

 

一般的な便秘の治療は・・・

 

・規則正しい排便のためには、食事、運動、睡眠などの生活習慣の改善が基本です。

便秘によっては、食物繊維の摂取不足が原因になるため、ある程度の食物繊維(男性20g/日、女性18g/日)が必要とされています。しかし、根菜類を過剰に摂取すると、便秘が改善しないばかりか、悪化することもあるため注意が必要です。

 

・運動は、激しい運動より有酸素運動が便秘に有効とされています。体力と体調に合わせた運動をおすすめします。十分な飲水と無理のない運動を心掛けましょう。

 

・生活習慣を改善しても便秘が改善しない場合は、薬物療法を行います。

基本は非刺激性下剤で、その量や種類を調整します。酸化マグネシウム、アミティーザ®、リンゼス®などがこれにあたります。非刺激性下剤を調整しても十分な効果が得られない場+合は、刺激性下剤を頓用で使用します。センノシド(プルゼニド®)、センナ(アローゼン®)、ラキソベロン®などがこれにあたります。使い方としては、例えば「12日排便がなかった日の寝る前に服用する」などと決めるようにするのがよいでしょう。刺激性下剤を漫然と毎日服薬することは、腸に不要な刺激を与えることになります。

便秘に漢方が有効な場合がありますが、多くは大黄を含んでいます。大黄は刺激性下剤ですので、使い方には注意が必要です。

 

 

紛らわしい話ですが、センナも大黄も下剤としての有効成分はセンノシド。大黄にはタンニン(下痢を止める作用)が含まれるため、センナより効き方がマイルドです。・センナ:マメ科 葉を使う(アフリカ原産)・大黄:タデ科 根茎を使う(中国原産)⇒漢方では大黄を使いますが、センナを使いません。

便秘に悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。

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