患者さんから「検査前に感染症の採血チェックをしないのか」と言われたことがあります。
内視鏡検査を受ける患者さんに、事前に感染症のチェックは必要でしょうか。
結論から言うと、高水準の内視鏡洗浄を行っている現在(高水準の内視鏡洗浄を行っている施設)は、内視鏡検査前の感染症のチェックは必要ありません。高水準の内視鏡洗浄により、既知のウイルス、微生物を除去でき、安全に内視鏡を受けることができます。
ここでいう感染症とは、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、梅毒などの微生物です。
施設間で差がありますが、大学病院や多くの病院では、基本的に内視鏡検査(入院の必要がないポリペクを含む)を受ける際に、ほとんどの施設において感染症のチェックを実施していません。
ただし、入院が必要な内視鏡治療の前は感染症の有無をチェックすることが多いです。
内視鏡検査の大前提は、安全に行うことです。それには患者さんから患者さんへの感染予防も含まれています。これは、先に述べたように適切な内視鏡洗浄を行っていれば、予防可能です。もちろん当院では適切な洗浄を行っています。
現在、感染症のチェックが必要なおもな理由は、針刺し事故(採血などで患者さんに刺した針を医療従事者が自分に刺してしまうこと)などの感染事故が起こったときに迅速に対応するためです。
よって、その機会がない外来検査では、しっかりとした感染対策を行えば、感染症のチェックを行う必要がなく、採血してその結果がどうであれ、管理方法を変える必要がありません。
そして、それは患者さんの費用負担の軽減につながります。
繰り返しになりますが、
当院では、内視鏡検査前に感染症のチェックを実施しておりません。
理由1:高水準の適切な内視鏡洗浄を行っていること。
理由2:採血結果により、管理方法は変わらない。
理由3:患者さんの費用負担を少しでも軽減したいこと。