まず、大腸の定義です。大腸は、結腸(盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸)と直腸に分かれます。なお、肛門に近い大腸が直腸です。
『大腸=結腸(盲腸~S状結腸)+直腸』
世界的に、身体活動量を増やすことにより、大腸がん、特に結腸がんの発症リスクが低下する低下することは【確実】とされてきました。
以下の国立がん研究センター研究班の報告では、日本人でもこの関連性が裏付けられています。
国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクトより
男性では身体活動量が多いと、大腸がんのリスクが30%低下し、特に結腸がんのリスクは40%低下しています。一方直腸がんのリスク低下はありませんでした。この研究では、女性の場合は身体活動量と大腸がんのリスクの関連性は認められませんでしたが、家事などの身体活動の問診が不十分だったとも考察されています。
身体活動量の増加が結腸がんを予防する理由としては、高インスリン血症や肥満の予防、胆汁酸分泌抑制、免疫の増強、腸管蠕動の促進による発がん物質の腸内時間短縮などがそのメカニズムとして推察されています。
運動は、生活習慣病の予防だけでなく、結腸がんのリスク低下のために役立ちます。しかし、激しい運動を習慣化すると、体内の活性酸素やフリーラジカルの産生が促進され、それらがDNAを傷つけて、がん化を促す可能性があると言われています。
大腸がんの危険因子を示します。
・運動不足
・喫煙
・大量飲酒
・牛、豚、羊などの赤肉、加工肉の過剰摂取
・肥満
・遺伝
特にこれらに当てはまる方は、生活習慣改善とともに、定期的な大腸カメラをおすすめします。
~まとめ~
・大腸がん(特に結腸がん)の予防には運動療法が有効です。
・がんの予防には「活発な運動」と「適度な運動」を組み合わせることが推奨されます。