「憩室」って聞いたことはありますか。
大腸カメラを受けて、「憩室があります」と言われた方もいるかと思います。
まず憩室の分類について説明しますが、興味がある人以外は読み飛ばしてください。消化管の憩室は、全層(正常な腸管の壁)からなる真性憩室と筋層を欠いた仮性憩室に分けられます。真性憩室は先天的なものが多く、仮性憩室は後天的なもの多いとされています。
メッケル憩室(小腸)、胃憩室、食道憩室などは先天性のものが多く、消化管憩室の中で最も多い大腸憩室のほとんどは後天性の仮性憩室です。
今回はその中で大腸憩室について説明します。
大腸憩室は、加齢などにより腸の壁が弱くなったところに、便秘などで腸に圧がかかることで、外側に袋状に突出した状態です。内視鏡でみると「くぼみ」として観察されます。
従来日本人は、右側の大腸(盲腸・上行結腸・横行結腸)に憩室ができることが多かったのですが、近年は左側の大腸(下行結腸・S状結腸)の憩室が増えています。憩室の発生には、生活習慣や遺伝的素因が関与していると言われています。
遺伝的素因は仕方ないとしても、生活習慣は改善の余地があります。食物繊維の摂取が少ない人は、左側の大腸に憩室(下行結腸・S状結腸)ができやすいとされています。
残念ながら、いままでなかった憩室を指摘された方は、腸の加齢がすすんでいる可能性があります。まずは生活習慣を見直しましょう。
次回の記事では、大腸憩室によって引き起こされる厄介事について説明します。