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2024.09.17

生活習慣病と運動療法

 生活習慣病の治療の3本柱は、食事療法、運動療法、薬物療法(服薬)です。

今回は、運動療法の必要性に関して述べたいと思います。

 

生活習慣病の発症予防・進展予防のために、運動療法は欠かせません。

運動療法というと、ランニングしたり、トレーニングジムに行ったりをイメージしている方が多いと思います。

運動療法をすすめると、必ずと言っていいほど「時間がない」「運動は苦手」などの答えが返ってきます。ランニングやトレーニングジムに通うことを続けられる人は、(よほどそれを好きでない限り)かなり少数です。そもそもそれを続けられる人は、身体を動かすことが好きな人なので生活習慣病になる可能性は低いといえます。

高血圧症、脂質異常症のガイドラインですすめられている、速歩、ステップ運動、スロージョギング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動を定期的に(できれば30分以上行うことが推奨されています。30分以上を毎日とされていますが、実際に毎日行うことは難しいかもしれません。しかし週3回であれば何とかなる方も多いのではないでしょうか。

ジョギングやサイクリングはうまく体を使わないと怪我を招いて続けられなくなることがあります。水泳はプールに行く必要があり時間が限られます。そう考えると家を出てすぐにスタートできるウォーキングが最も続けやすく有効な有酸素運動かと思います。しかも、運動神経など関係なくできる運動です。運動療法は競技ではないので、気張る必要はありません。続けるコツは頑張りすぎないことです。運動を始めると体重や体脂肪が落ち始めてもっと頑張ろうと思えるのですが、そのうち体重が落ちにくくなったり、頑張りすぎてバーンアウトしてしまったり、さらには怪我で運動ができなくなることもあります。また、暑い日、雨の日、体調が悪い日などに運動を休むことは決して恥ずべきことではありません。繰り返しますが、頑張りすぎないことが長続きのコツです。

ただし、運動を制限されている病気(心不全、狭心症、不整脈、慢性腎臓病、内分泌・代謝疾患、整形外科疾患など)がある方は、主治医とご相談ください。

「時間がない」という方。自分の体です。医師はアドバイスしたり、治療を施したりと、寄り添うことはできますが、生活習慣の改善は基本的にご自身の意識次第です。

生活習慣病は、それ自体が命を落とす病気ではありませんが、生活習慣病をコントロールすることで命にかかわる重大な病気、合併症の発症、進展・再発をある程度抑えることができます。

 

~まとめ~

運動療法にしても、食事療法にしても、続けることが大切です。データを良くすることが目的ではなく、重大な病気や合併症の発症・進展・再発を抑えることが目的です。

運動は、生活習慣病のコントロールには欠かせません。自分の身体と相談しながら、ライフスタイルにあわせて、自分にあった運動を続けましょう。

 

以下に高血圧症、脂質異常症ガイドラインから運動療法を中心に抜粋しました。

参考にしてください。

 

《高血圧症》

高血圧症は、軽強度の有酸素運動(動的および静的筋肉不可運動)を毎日30分、または週180分以上行うことが推奨されています。

 

「高血圧治療ガイドライン2019」では、生活習慣の修正項目を以下のように挙げられています。

1.食塩摂取量の制限(16g未満)

2.野菜・果物の摂取(ただし、カリウム制限が必要な腎障害患者では積極的接種は推奨しない)、飽和脂肪酸・コレステロール制限、多価不飽和脂肪酸・低脂肪乳製品の摂取

3.適正体重の維持(BMI 25未満)

4.運動療法

5.節酒(エタノールとして男性20~30ml/日以下、女性10~20ml/日以下)

6.禁煙

 

《脂質異常症》

中等度以上の運動(ウォーキング)を1日の合計30分以上を毎日続けることが望ましい(少なくとも週3日は実施すること)。また、1日の中で短時間の運動を数回に分けて合計して30分以上としてもよい(例:10分間の運動を3回実施で合計30分間)。

 

「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022」では、生活習慣の改善を以下のように挙げられています。

1.禁煙

2.節酒

3.肥満・メタボリックシンドローム対策(BMI 25未満)

4.バランスの良い食事、飽和脂肪酸・コレステロールの過剰摂取制限、食物繊維の摂取、食塩制限など

5.運動療法

 

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