「胃ポリープは切除しなくていいのですか?」と質問されることがあります。
お答えします。
そもそもポリープとは?
広義には、ポリープは粘膜から隆起したものの総称です。
ポリープというと、良性のものから癌まで幅広く含んでいます。
ただ、ポリープというと良性のもの(狭義)、良性でないものは癌ということが一般的です。
今回はポリープの中でも、胃ポリープに関してご説明いたします。
内視鏡を行うとよく見られるのは、胃底腺ポリープと過形成性ポリープです。
①胃底腺ポリープ
基本的にヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)がいない胃にできるポリープです。逆に言えば、胃底腺ポリープはピロリ菌がいない証拠になります。内服薬によっては胃底腺ポリープが増加したり増大することがありますが、明らかな原因は不明です。
胃底腺ポリープが癌化するという報告もありますが、報告されているという程度と考えてよく、その頻度は極めて低いので心配しなくてよいです。よって、基本的に生検(病理検査)も行いません。
②過形成性ポリープ
過形成性ポリープの多くは、ピロリ菌に感染している胃に発生します。ピロリ菌を除菌すると過形成性ポリープが小さくなったり消失することがあります。
ほとんどは良性のままですが、稀にがん化することがあります。がん化率は、大きさ2cm以下で0.5~1.8%、2cm以上では4.8~8.2%との報告があります。過形成性ポリープは経過観察を必要としますが、そもそもピロリ菌に関している(感染していた)胃に発生することが多いため、いずれにしても年1回の胃カメラをおすすめします。
さて、掲題の「胃ポリープは切除しなくて大丈夫?」です。
胃底腺ポリープを切除することは基本的にないと思ってよいです。
過形成性ポリープも基本的には経過観察でよいのですが、稀に切除することがあります。2cm以上で増大傾向を認めるもの、がん化の可能性があるもの、出血しやすいものなどが切除の適応です。
ほか、腺腫というポリープも切除の対象になる場合があります。
~まとめ~
胃ポリープ(狭義)で内視鏡的切除の対象は?
・増大傾向あるいは、がん化を疑う過形成性ポリープ
・増大傾向あるいは、がん化を疑う腺腫
こうみると、胃ポリープで切除対象になるものは、そう多くないことがわかります。