ブログ

2024.07.12

腸管洗浄で便秘が治る?

大腸カメラのあとに、「便秘がなおった」「便秘になった」などとおっしゃる方がいます。
前処置の下剤(腸管洗浄剤)で便をすべて出しているので、一時的に便通が検査前とかわることはあります。しかし、基本的に腸内細菌叢が変わるわけではないので、「また元に戻ります」と説明しています。

これに関して、国立がん研究センター中央病院内視鏡科と東京工業大学の共同研究をご紹介します。
腸内細菌叢(腸内フローラ)のメタゲノム解析による発がん研究の加速に期待 糞便試料の新たな保存法を確|国立がん研究センター (ncc.go.jp)
腸内には、約1000種類100兆個の共生細菌で構成され、その組成は各個人で異なっています。この研究では、大腸カメラの前処置前と大腸カメラ後に、便を収集し、便から細菌の核酸(DNAなど)を抽出して解析するというものです(腸管内の微生物のほとんどは人為的な培養が難しいため)。腸内細菌叢の菌叢組成は、大腸カメラの腸管洗浄の影響を受けないという結果でした。

結論としては、大腸カメラの前処置によって腸内細菌叢は変わりません。
よって、大腸カメラを受けた後に「便秘がなおった」「便秘になった」のは、少なくとも腸内細菌叢は関係なさそうです。
一時的に便通に変化がおこったのは、別の要因ということになりますが、理由ははっきりしません。ただ、経験上、ほとんどの場合は元の便通に戻ります。
普段から便通にお悩みの方は、検査を機に食生活、飲酒、運動などの生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。

0459710260 LINE予約 WEB予約