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2023.10.25

貧血の原因は鉄不足だけではない

貧血とは?
医学的には、全身の組織に酸素を運ぶ赤血球が減少し、組織に十分に酸素が供給されない状態を貧血と言います。
※前回のブログ「それって貧血?」もご参照ください。

原因
貧血の原因は大まかに1. 出血、2. 赤血球の産生不足、3. 赤血球の破壊 です。

1. 出血
外傷、手術などは別として、男性であれば、出血の原因は消化器、尿路から出血、女性であればそれに加えて、生理、婦人科疾患でも貧血になることがあります。
よって貧血が発覚した場合は、男性であれば胃カメラ、大腸カメラ、必要あれば超音波検査(エコー)やCT、女性であればそれに加えて、婦人科受診をすすめています。

2. 赤血球の産生不足
皆さんご存じの鉄が不足すれば、赤血球をつくることができなくなります(鉄欠乏性貧血)。鉄欠乏性貧血は、貧血全体の60~80%を占めていると言われています。実は、ピロリ菌感染も鉄欠乏性貧血の原因になりえます。その点でも、貧血の原因検索のために、胃カメラは必須の検査といえます。
鉄以外に、ビタミンB12や葉酸も赤血球をつくるうえで必要な成分です。胃の手術を受けた方は(手術法による)、ビタミンB12を吸収できなくなるため貧血になり、アルコールを多く飲む方は、葉酸が不足して貧血になります。
腎不全の方は、赤血球の産生を促すエリスロポイエチンというホルモンが低値になり、赤血球の産生低下により貧血になります(腎性貧血)。
慢性炎症(関節リウマチ、炎症性腸疾患など)では、体内に鉄が足りていても鉄を利用できないため貧血になります。
ほかに、白血病、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群などの血液疾患も貧血の原因になることがあります。

3. 赤血球の破壊
頻度は低いですが発作性夜間血色素尿症、赤血球の物理的損傷などです。
スポーツ貧血というものがあります。多量の発汗により体外に鉄が流出し、足底部に衝撃が加わることで赤血球が破壊されることで貧血になることがあります。ハードなスポーツをする方は要注意です。

4. 原因不明の貧血
さまざまな検査をしても原因がわからない場合もあります。
ただ、「若いころから貧血だから」と決めつけず、以前から貧血がある方も、以前と少しでも違うデータであれば精密検査を受けるべきと考えています。

貧血の原因により治療法が異なります。
貧血の原因検索として、消化管の検査(胃カメラ、大腸カメラ)は必要な検査ですが、当院で可能な検査で原因を特定できない場合は、婦人科、血液内科など、しかるべき医療機関を紹介させて頂きます。どの科を受診すればよいかわからない場合は、ぜひご相談ください。

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